MIYAJIMA

12時間のバス監禁からやっと解放された我々は、
広島駅の土産売り場の奥にある狭い便所を占領し、
身繕いを整え、
働かない頭をどうにか抱え、
宮島へと向かったのだった。


島に渡る前に名物あなご飯で腹ごしらえ。
普段は小食を自負する我々、さらにバス旅の疲れもあるということで、3人とも「小」をチョイス。
しかし出てきたおひつ(?)は「並」に比べたらかなり小さめとはいえ、量的には松屋の牛丼(並)くらい・・
味も確かな老舗のあなご飯で、朝から満足すぎる満腹。
(ほんと、うまかった。この旅行で一番。)
ここから我々の胃は、急激な進化を始めるのだった・・


宮島に到着したのはなんだかんだで結局一番陽が高い時間帯。
同じ本州にあるけれどやっぱり南、東京よりもかなり陽射しが強い。
軽くカルチャーショックでした。
干潮だったので厳島神社の大鳥居を真下から見上げる。
根元は木の幹そのままの形をしているんだねー。大自然の力よ。
そしてフジツボがアホほどひっついていた。気持ち悪い、でも見てしまう。
がりがりと掻き剥がしたい衝動に駆られる。
身体が芯から震え上がる快感。


陽射しが強いと影も強い。
社殿内は風が吹き込むこともあってとても涼しい。
豊国神社(厳島末社)の千畳閣なんて広い上に涼しくって観光客はみんな寝てた。
でも千畳もある大経堂なだけあって、真ん中らへんは風が届かず全然涼しくないのだ。
この日は篠笛の無料コンサートが催されていて、その真ん中ら辺に舞台と客席が設えてあって、
ツアーの外国人観光客達が眠気をこらえつつ、汗をかきつつ、真剣に(頑張って)聴いていた。
演奏が終わって司会の方のこのお言葉「・・大変涼しく、お聴き頂けたと思います。・・」
「暑いよ・・」客席にいた私は思った。
でもほんとーーーに昔の人達にとっては、笛の音は貴重な「涼」だったんだろうな。
実際に体感温度が下がるわけではないけど、清清しい音色に聴き入って、ひととき本当に暑さを忘れていたんだろう。
今の時代涼しさは手軽に手に入るけど、そういう感性を忘れずに持てたらなと思う。